筋肉はゴリラ!牙はゴリラ!燃える瞳は原始のゴリラ!

コミックバンチでやっとバイオレンスジャックが再開。
デビルマンに変身してるんですが、ま た で す か。
これ1巻で完結にさせないで、10年ぐらい連載続くようなら死に水をとるという意味で面白くなってくるんですが。

ハレンチ学園 3 (キングシリーズ 小池書院漫画デラックス)

ハレンチ学園 3 (キングシリーズ 小池書院漫画デラックス)

10年に1度復刻されるハレンチ学園ですが前回の文庫からB6判になったので購入。
3巻目にしてもうハレンチ大戦争が入ってますけど早いよね〜。
ハレンチ学園ってハレンチ大戦争後のほうが長いですからね。
ハレンチ大戦争こそ少年マンガの快楽の原理が暴走した最初の作品で、のちのカタストロフ物の原点ですが、やはりイキドマリの啖呵に尽きます。

イキドマリ「オヤブン戦争っておもしろいですねー。
だってさーかっこいいしどんどん人殺しができるしそのわりにはおれたち主役だから死ぬ心配ないし・・・・・・いいちょーし」
ヤマギシ「ばかだなーてめえ!それで平気で戦争やってたんかよー!
おまえこのマンガの作者をしらねーな
永井豪ってやろうはなー主人公だって容赦はしねー!
やつは演技がうまくても人気があってもしったこっちゃねーんだ!
殺してーとき平気で殺す!」
イキドマリ「そ そんなそんな・・・・・・そんなバカなー!
ジョ ジョ ジョーダンじゃねーや ふざけんねい!
て て て て てめえ ふざけんな!」
ヤマギシ「やめろ!作者になにをいってもむだだ!」
イキドマリ「お おりゃあなーこのマンガがはじまて以来ずっとまじめに出演してきたんだぞ!
それをそれを簡単に殺していいと思ってんのかー!
バカヤロー!ふざけるな!てめえは自分をなんだと思ってんだー!
自分勝手に人間つくったり殺したり!てめえは神様にでもなったつもりか!
もういやだー!てめえのために道化役なんかやらねー!てめえなんかの思いどおりに動かねえぜ!」

このキャラの作家への反逆宣言直後イキドマリは速攻で死亡、反逆への報復かバイオレンスジャックハレンチ学園編でも2コマぐらいしか出番がありません。
しかしながら、憑依型作家の永井先生がこのイキドマリの絶唱を聞いてそれで収まるはずがなく、その後本格的に憑依型作家としてキャラクターを暴走させる作風に変わっていったんですね。
デビルマンの後半の暴走しまくりのアドリブ展開もハレンチ大戦争に原点があるわけです。
デビルマン終了後も不動明飛鳥涼は何度も復活しますし、作品としての完成度よりキャラの意志のほうが重要視されてます。
これもたかがメガネ君の分際で作者に刃向かったイキドマリの力といえましょう。

レッド(1) (KCデラックス イブニング)

レッド(1) (KCデラックス イブニング)

森山塔のマンガは本人が語るように「少年マンガの快楽の原理が暴走した結果」で、永井豪から続く少年漫画の正嫡といえまして、ガキの快楽妄想を全面展開したマンガばかりです。その中でも森山塔が自己投影したキャラがかもしだで、山本直樹名義でスピリッツにて連載した「極めてかもしだ」はまさしくハレンチ学園の再来としかいいようがない漫画でした。かもしだがヤマギシみたいな番長キャラじゃなくイキドマリが転生したようなメガネ君だったのはこれがオタク黎明期の80年代らしさです。かもしだとツンデレキャラ興津要のドタバタラブコメが展開してほとんどラブひな状態だったのですが、ハレンチ学園がハレンチ大戦争へ突入したように後半は生徒会長選になり学園闘争ものになります。ハレンチ学園がそうだったように快楽原則と現実原則の闘争になるわけですね。極めてかもしだではかもしだが生徒会長になって一応ハッピーエンドに終わりますが、その後塔山森名義で書いたのが「かもしだ君の漂流記」。今までのことはひきこもり少年かもしだがみていた妄想で興津要たちも存在しないという衝撃の結末を迎えるのです。現実原則が快楽原則に勝ったわけですね。ここで山本直樹漫画は一端区切りがついて、その後は現実と妄想の区別がつかなくなるドラッグマンガばかり描くようになります。オウムネタの「ビリーバーズ」、その残党が海外逃亡して幻覚ばかり見ている「安住の地」、物語が破壊された「フラグメンツ」「堀田」・・・。そして今回新展開として出てきたのがこの連合赤軍漫画「RED」です。むろん全共闘少年マガジンをアンチョコにしてあしたのジョーをきどって北朝鮮に亡命するような妄想全開な電波集団で、連合赤軍事件は「少年マンガの快楽の原理が暴走した結果」そのものなので、山本直樹が最終的に辿り着いたのも当然でしたね。快楽原則が現実原則に叩きつぶされるパターンをたどるわけです。「RED」で主人公格とされている岩木がかもしだが転生したかのようなメガネ君なのも必然ですね。モデルどおりだと岩木は死にませんので、この事件の最終的な判断をくだす立場に置かれたキャラなんでしょう。オタクというのは70年代の学生運動崩壊の焦土から現れた種族ですからね。