猫猫先生結婚

【馬です】小谷野敦 14頭目【鹿です】
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えー、猫猫先生が!?

「それよりも、半兵衛、わしには妙な好みがあるらしい。
わしは、わしよりも上の女でなくては心がそそられぬのだ。」
「上、と仰せられると?」
「身分、家柄、才能、心の持ちようなどじゃが。・・・・・・
いかに美女であろうと、低学歴の娘には興味がない。そういう上の女は、わしのまえには現れなんだ。現れても、わしが手をつける機会のない女ばかりであった。いままでわしが、女をかえりみることなく働いて来たのは、かならずしもおまえの禁制に縛られていたゆえんばかりでもない。・・・・・・」
「あなたさまより、上の女人。・・・・・・」
「半兵衛、おまえは女の話はきらいらしいから、こんなことはいままでいわなんだ。いまはじめて白状する。・・・・・・雨に打たれ、泥だらけになり地べたを這いずりまわっていた餓鬼のころからの夢だなあ」
 敦の顔に、ふしぎな沈痛味と憧憬の表情がひろがった。・・・・・・はじめて半兵衛は、この人物の顔を美しいものと見、荘厳さをすらおぼえた。
「あの娘は久々に・・・・・・前妻以来はじめてめぐり逢った対象であり、機会なのだ」
「おゆきなされ」
と半兵衛はさけんだ。
「あの東大院生をお側妾になされ」