アストロ!乙女塾!

アストロ!乙女塾! (集英社スーパーダッシュ文庫)

アストロ!乙女塾! (集英社スーパーダッシュ文庫)

タチグチリウイチ日記より
http://www.asahi-net.or.jp/~WF9R-TNGC/nikko2005102.html

 いやまあ面白いよ、うん面白い。なよっとした女の子顔の男の子が幼なじみのちょっぴり強引な女の子で眼鏡っ娘に誘われ女学園へと入学し、ツンツンとして高飛車な生徒会長を向こうに回して戦うって本筋に、美少女くノ一とか美少女剣士とかが絡んだり幼い肢体の少女がしなだれかかって来たりするってストーリーは散りばめられた無量大数のフックに心をひっかけられて最後までしっかりと読まされてしまう。うろたんさん描く挟まれるイラストだって白いの見えまくりだし。さすがは本田透さん。「アストロ! 乙女塾!」(集英社スーパーダッシュ文庫、571円)に売れない要素はまるでない。

 でもなあ。それは今だかこその流行であって今書かれたからこその人気であってたとえば3年、あるいは来年でも良いから読まれ感心されるものかってゆーと頭をひねる。ライトノベルってそーゆーもんじゃん、って声もあるし過去にそーやって売り続けてきた偉大な先達もいたけれど、桜庭さん桜坂さん橋本紡さん上遠野浩平さん古橋秀之さん等々の人の活躍でライトノベルでもあれこれやって良いんだってことになりかかってるこの時に、この設定で出してしまうってのは何だか勿体ない気もしないでもない。桑島由一さんだって「神様家族」は文体も凄けりゃ繰り出される”家族”ってテーマも思い。

 比べて「アストロ! 乙女塾」はとくると記号を記号的ストーリーでつなぎ記号的脚注を挟んだ標準の最先端。それが好まれるって理由も分かるけど、読んでこれだけ書ける人がこれを書いてしまうってのがどうにも勿体ない。あるいはこれを書くからこれだけ書けるスピリッツの持ち主って考え方もあるけれど、それにしてもやっぱりやり過ぎな気が。まあ良い名刺代わりの1冊ってことで次に何を出してくるかにとりあえず注目。

「こんなもん記号だけ!1年たちゃ忘れさられる!
自分が持ち上げてきた桜庭さん桜坂さん橋本紡さん上遠野浩平さん古橋秀之さんの功績でしょうもなかったラノベを改革してきたのにこんなもん出す本田は反動勢力!」
ってことでしょうか。
純文学なんぞを志向しているセカイ系的東的価値観では唾棄すべき本なんでしょうな。
こんなのギャグ小説に対して書く批評文じゃないし、いったいダレに向けて言ってるのかわかりません。
古賀亮一竹内元紀を読んでもこんなこと言うんでしょうか。